測定値と厳密な数
どの測定器にも限界があるため、測定値には不確かさがあります。0.1 mL 刻みの目盛りがあるビュレットを読むときは、確かな目盛りを読み取ったうえで、目盛りの間をもう1桁だけ目分量で推定します。そのため 18.36 mL という読みの有効数字は4桁で、確かな3桁と推定した1桁からなります。18.360 mL と書くと、ビュレットでは得られない精度を主張することになります。
厳密な数には測定の不確かさがありません。厳密な数は、数え上げ(試験管立てに12本の試験管)、定義(1インチはちょうど 2.54 cm、1 L はちょうど 1000 mL)、そして化学式や反応式の係数と添字から得られます。厳密な数は有効数字が無限にあるものとして扱うので、計算結果の精度を制限することはありません。
桁の数え方(やっかいなゼロも含めて)
ゼロでない数字は常に有効数字です。ゼロは、測定した情報を表しているか、小数点の位置を示しているだけかによって、有効数字になる場合とならない場合があります。以下の規則は、一般化学で出会うすべての場合を網羅しています。
小数点のない整数の末尾のゼロだけは、本当にあいまいな場合です。1200 g と書かれた質量は、有効数字2桁、3桁、4桁のいずれの可能性もあります。科学的記数法を使えばあいまいさがなくなります。1.2 × 10³ g は2桁、1.20 × 10³ g は3桁、1.200 × 10³ g は4桁です。
- ゼロでない数字にはさまれたゼロは有効数字です。30.506 g は5桁です。
- 先頭のゼロは決して有効数字ではなく、小数点の位置を示すだけです。0.004070 m は4桁(4、0、7、0)です。
- 小数点より右側の末尾のゼロは有効数字です。2.500 mL は4桁です。
- 小数点のない整数の末尾のゼロはあいまいです。意図を示すには科学的記数法を使います。
足し算と引き算:小数点以下の桁をそろえる
量を足したり引いたりするとき、重要になるのは有効数字の個数ではなく、最後の小数位における絶対的な不確かさです。結果は、小数点以下の桁数がもっとも少ない測定値と同じ桁数に丸めます。
例題1。異なる天びんで量った固体を3回に分けて合わせます。12.6 g、0.237 g、105.42 g です。電卓には 118.257 g と表示されます。最初の質量は小数第1位までしかわかっていないので、和も小数第1位までしかわかりません。したがって 118.3 g です。入力のひとつが3桁しかないのに、答えは4桁になっていることに注目してください。足し算では、桁数が結果を制限するのではありません。
引き算では有効数字が失われることがあります。液体の入ったフラスコの質量が上皿天びんで 58.36 g、空のフラスコの質量が分析天びんで 57.912 g だったとします。電卓上の差は 0.448 g ですが、最初の質量は小数第2位までしかわかっていないので、液体の質量は 0.45 g です。4桁と5桁の入力から、2桁しか残りません。大きな2つの数の小さな差が重要なときは、両方をより精度の高い天びんで量ります。
掛け算と割り算:有効数字の桁数を数える
積と商では、相対的な不確かさが引き継がれます。結果は、有効数字がもっとも少ない入力と同じ桁数に丸めます。
例題2。直方体のブロックの寸法が 4.20 cm、2.15 cm、1.8 cm です。体積は、電卓上では 4.20 cm × 2.15 cm × 1.8 cm = 16.254 cm³ です。高さの有効数字は2桁しかないので、体積は 16 cm³ と報告します。3桁目を正当化できるのは、たとえばノギスで高さを 1.80 cm とより精密に測った場合だけです。
対数にも、pHの計算に現れる関連した規則があります。対数の小数点以下の桁数は、もとの値の有効数字の桁数に等しくなります。水素イオン濃度 3.4 × 10⁻⁴ mol/L の有効数字は2桁なので、pHは小数点以下2桁の 3.47 と報告します。
複数段階の計算では、最後に1回だけ丸める
何段階もある計算では、途中の値にそれぞれ1〜2桁以上の余分な桁(ガードディジット)を残し、最終的な答えだけを丸めます。各段階で何桁が妥当かは把握しておきますが、最後まで桁を捨てないでください。段階ごとに丸めるとそのたびにわずかな誤差が加わり、その誤差が最後に報告する桁を変えてしまうことがあります。
例題3。塩化ナトリウム 1.37 g を水に溶かし、メスフラスコでちょうど 50.00 mL に希釈します。小数第2位に丸めた IUPAC の標準原子量(Na 22.99、Cl 35.45)を使うと、NaCl のモル質量は 58.44 g/mol です。物質量は 1.37 g ÷ 58.44 g/mol = 0.023443 mol で、丸めずに保持します。体積は 0.05000 L なので、濃度は 0.023443 mol ÷ 0.05000 L = 0.46886 mol/L となり、質量の有効数字が3桁であるため 0.469 mol/L に丸めます。
もし先に物質量を 0.0234 mol に丸めていたら、0.0234 mol ÷ 0.05000 L = 0.468 mol/L になります。差はわずかですが、これは測定ではなく計算によって生じた本物の誤差であり、計算の連鎖が長くなると大きくなることがあります。
ちょうど真ん中の桁を切り上げるか偶数にするか
最初に捨てる桁が5未満なら、残す桁はそのままにします。5より大きい場合、または5の後に0以外の数字が続く場合は切り上げます。したがって 0.064371 は有効数字3桁で 0.0644 に、7.2849 は 7.28 に丸まります。
議論があるのは、捨てる桁がちょうど5で、その後に何もない場合だけです。OpenStax Chemistry 2e は、残す桁が偶数になるように丸めます(6.125 は 6.12 に、6.135 は 6.14 になります)。こうすると、多数回の丸めで生じるわずかな上向きの偏りを避けられます。多くの教員は単純に5を切り上げます。授業でどちらの規則を使うか確認し、一貫して適用してください。影響するのはこの1つの場合だけです。
自分の計算で確認したい有効数字の誤り
有効数字の誤りの大半は、いくつかのありがちなミスから生じます。答えを枠で囲む前に、入力をもう一度読み、どの入力が結果を制限しているか、どの規則によるかを自問してください。
簡単な習慣にすると定着します。答えのそばに、制限している入力と、適用した規則(小数点以下の桁数か有効数字の個数か)を書き添えます。答えの桁数がその入力が正当化する以上であれば丸め、少なければ電卓が省いた末尾のゼロを探します。
- 厳密な数が答えを制限してしまう。1000 mL/L という係数や、係数の 2 によって、有効数字が減ることはありません。
- 和に掛け算の規則を使う。和と差を制限するのは、桁数ではなく小数点以下の位です。
- 途中の値をすべて丸める。ガードディジットを残し、最後に1回だけ丸めます。
- 意味のある末尾のゼロを落とす。測定値が 2.50 mL でも電卓は 2.5 と表示します。ゼロを書き戻してください。
- 先頭のゼロを数える。0.0081 g の有効数字は4桁ではなく2桁です。
- ゼロがあいまいな整数で報告する。3桁に意味があるときは、340 g ではなく 3.40 × 10² g と書きます。
制限事項と適切な利用方法
- 有効数字は便利な近似です。表明された標準不確かさを伝播させる正式な不確かさ解析のほうが厳密で、信頼できる桁数が異なる結果になることもあります。
- 最後の桁がちょうど5の場合の丸め方や、残すガードディジットの桁数は、授業によって異なります。このガイドと違う場合は、担当教員の規則に従ってください。
- これらの規則は、各測定が測定器の精度に応じて正しく記録されていることを前提としています。天びんの校正ずれや目盛りの読み間違いは補正できません。それらが影響するのは精密さではなく正確さです。