問題文から求める量とその単位を読み取る
電卓に触れる前に、何かを求めている文を見つけ、箔の厚さ(cm)のように、求める量を単位つきで書き出します。目標を書いておけば、問題がグラムを求めているのに、モルのような途中の値で止まってしまうことを防げます。
次に、与えられた各量を単位と有効数字とともに列挙し、どの数が厳密な数かを印をつけておきます。数えられる物や、1 L = 1000 mL のような定義された関係、釣り合った反応式の係数は厳密であり、精度を制限しません。暗黙の情報にも注意します。酸素が過剰であれば、どの反応物が限定でないかがわかります。
最後に、与えられた量と求める量を結びつける関係に名前をつけます。密度、モル質量、モル比、モル濃度などです。名前をつけられないなら、問題文を読み直してください。計算を増やしても、欠けている考え方は補えません。
すべての段階で単位を持ち運ぶ
途中結果も含め、すべての数値の横に単位を書き、進めながら単位を約分します。これは、次元解析を逐次の検算として使うことです。残った単位が求める量の単位でなければ、数値がどれほどもっともらしく見えても、立て方が誤っています。換算係数が逆になっていればすぐにわかります。g × (g/mol) では g²/mol が残り、これは何の量でもないからです。
接頭語は明示します。mol/L のモル濃度を使う前に、25.0 mL を 0.0250 L と書いておけば、見落としやすい1000倍の誤りがなくなります。
複数の物質が登場する場合は、その物質名を単位の一部にします。mol AgNO₃ と mol Ag は異なる量であり、ラベルをつけておけば、モル比の段階を飛ばしにくくなります。
先に見積もり、次に電卓と比べる
与えられた各値を有効数字1〜2桁に丸め、暗算で計算します。見積もりに必要なのは、正しい10のべき乗と、おおよそ正しい先頭の桁だけです。正確な値を計算する前に、見積もりを書き留めておきます。
そして比較します。10倍以上の差があれば、接頭語の誤り、科学的記数法の入力ミス、比を逆に使ったことが疑われます。2や3のような小さな整数倍の差であれば、モル比や添字が疑われます。一致しても答えが正しい証明にはなりませんが、不一致はどこかが誤っていることを示します。
物理的に妥当かの確認も、可能なところで加えます。質量、体積、濃度、絶対温度は正の値です。純粋で乾燥した生成物の収率が 100% を超えることはありません。希釈した溶液の濃度は、もとの溶液より低くなります。
例題:アルミニウム箔の厚さ
長方形のアルミニウム箔の寸法が 30.5 cm × 22.0 cm で、質量が 4.37 g です。アルミニウムの密度は 2.70 g/cm³ です。この箔の厚さはいくらでしょうか。求める量は cm 単位の厚さです。関係は、体積 = 質量 ÷ 密度と、薄い板では体積 = 縦 × 横 × 厚さです。
見積もり:4.4 g ÷ 2.7 g/cm³ は約 1.6 cm³ で、面積は約 30 cm × 22 cm ≈ 660 cm² です。すると厚さは約 1.6 cm³ ÷ 660 cm² ≈ 0.0024 cm です。
計算:V = 4.37 g ÷ 2.70 g/cm³ = 1.6185 cm³(余分な桁は今のところ残します)。A = 30.5 cm × 22.0 cm = 671 cm²。t = 1.6185 cm³ ÷ 671 cm² = 0.002412 cm。すべての測定値の有効数字が3桁なので、t = 2.41 × 10⁻³ cm、すなわち 24.1 µm と報告します。単位は約分されて cm になり、結果は見積もりと一致します。
妥当性:24.1 µm は紙1枚よりはるかに薄く、箔の性質と合っています。2.41 cm という答えなら、この確認ですぐに不合格になります。
例題:角砂糖の原子の数を数える
純粋なスクロース C₁₂H₂₂O₁₁ とみなして、4.20 g の角砂糖には炭素原子が何個あるでしょうか。求める量は C 原子の個数です。道筋は、スクロースのグラム → スクロースのモル → スクロースの分子数 → 炭素原子の数です。計算する前に道筋を書き出します。矢印1本が換算係数1つに当たります。
モル質量は、小数第2位に丸めた IUPAC の標準原子量(C 12.01、H 1.01、O 16.00)を使って、12(12.01) + 22(1.01) + 11(16.00) = 144.12 + 22.22 + 176.00 = 342.34 g/mol です。見積もり:4 g ÷ 340 g/mol ≈ 0.012 mol、0.012 mol × 6 × 10²³ mol⁻¹ ≈ 7 × 10²¹ 個の分子、× 12 ≈ 8 × 10²² 個の炭素原子。
計算:4.20 g × (1 mol / 342.34 g) = 0.012269 mol のスクロース。0.012269 mol × 6.022 × 10²³ 個/mol = 7.388 × 10²¹ 個の分子。7.388 × 10²¹ 個 × 12 個の C 原子/分子 = 8.866 × 10²² 個の C 原子で、4.20 g の有効数字は3桁なので 8.87 × 10²² と報告します。12 は厳密な数で、モル質量とアボガドロ定数は質量より多くの桁をもちます。見積もりとも一致しています。
最初の段階で物質量を 0.01 mol に丸めていたら 7.23 × 10²² となり、約18%小さくなっていました。途中の段階では余分な桁を持ち越し、丸めるのは最後に1回だけにしましょう。
複数段階の問題を量の地図として整理する
3段階以上の問題では、計算する前に地図をスケッチします。量(Aの質量、Aのモル、Bのモル)を箱で表し、それらをつなぐ関係(モル質量、モル比)を矢印に書き添えます。地図があれば、何をするかを決めることと、計算を実行することを分けられます。
与えられた量から前向きに進めても、求める量から後ろ向きにたどっても、分岐の少ないほうでかまいません。多くのデータが与えられる問題では、後ろ向きの推論が役立ちます。求める量を計算するには何が必要か、それを得るには何が必要か、と与えられた量に行き着くまで問いかけます。
1行に1つの換算を、単位と物質名のラベルつきで書いておけば、誤った答えがどの段階の失敗によるものかをたどれます。
- 求める量を単位つきで書く。
- 各関係に名前をつけ、与えられた量から求める量までの道筋をスケッチする。
- 答えを有効数字1桁で見積もる。
- 途中結果には余分な桁を持ち越して計算する。
- 最後に1回だけ、正しい有効数字の桁数に丸める。
- 見積もりと比較し、物理的に妥当かを確認する。
よくある間違いと、それに気づく確認方法
以下の誤りは一般化学でよく見られ、それぞれに、問題全体をやり直さなくてもできる簡単な確認方法があります。
自分の解答に誤りを見つけたら、どの習慣があれば気づけたかを書き留め、最も頻繁に起こすパターンについては、毎回意識して確認するようにしてください。
- グラムを求められているのにモルを答えるなど、途中の量で止まってしまう。確認:最終的な単位を、最初に書いた求める量と比べる。
- 6.022 × 10²³ を 6.022 × 10 EE 23 と入力してしまい、電卓がそれを 6.022 × 10²⁴ と読み取る。確認:6.022 の直後に EE または EXP を押し、10のべき乗を見積もりと比べる。
- mol/L を使う計算で mL と L を混ぜてしまう。確認:単位が約分されて求める量にならない。
- 換算係数を逆にしてしまう。確認:g²/mol のような単位が残る。
- 途中結果を丸めてしまう。確認:最後の段階を丸めない値でやり直し、報告する桁が変わるなら、より多くの桁を持ち越す。
- 係数やスクロースの炭素原子12個のような厳密な数が、有効数字を制限するものと考えてしまう。
- 負の質量、100%を超える収率、希釈すると上がる濃度など、物理的にありえない値を受け入れてしまう。
制限事項と適切な利用方法
- 見積もりで見つかるのは桁数や比の誤りですが、誤った釣り合いの反応式を使うなど、たまたまもっともらしい数値になる誤った概念は検出できません。
- ここで使った有効数字の規則は、不確かさを単純化して扱ったものです。実験レポートでは、不確かさの正式な伝播が求められることがあります。
- 例題では、角砂糖を純粋なスクロース、箔を厚さが一様な純粋なアルミニウムとして扱っています。実際の試料には、不純物、コーティング、空気の隙間が含まれます。
- 原子量は小数第2位に丸めているため、より精密な値で計算した結果と、最後の桁がわずかに異なることがあります。