気体の試料を記述する4つの変数
気体の試料は、圧力 P、体積 V、温度 T、物質量 n で記述されます。圧力にはいくつかの単位があり、1気圧は 101.325 kPa、または 760 mmHg で、実用上、1 torr は 1 mmHg に等しいとします。物質量は、グラムではなく、つねにモルで表します。
温度はケルビンでなければなりません。摂氏の読みに 273.15 を足します。気体の法則は比例関係であり、比例関係が成り立つのは、ゼロが本当のゼロを意味する尺度の上だけです。10 °C から 20 °C にしても気体の体積は2倍になりませんが、283 K から 566 K に2倍にすれば、圧力一定の気体の体積は2倍になります。
ボイル、シャルル、アボガドロは1つの法則の断片
古典的な法則はそれぞれ、2つの変数を一定に保ちます。ボイルの法則:n と T が一定なら P₁V₁ = P₂V₂ で、気体を半分の体積に押し縮めると、圧力は2倍になります。シャルルの法則:n と P が一定なら V₁/T₁ = V₂/T₂ で、体積は絶対温度に比例して増えます。アボガドロの法則:P と T が一定なら V₁/n₁ = V₂/n₂ で、気体の体積が等しければ分子の数も等しくなります。
これらを合わせると、一定量の気体についての、ボイル・シャルルの法則 P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂ が得られます。この形に慣れたら、一定のままの変数を消し、残った変数から正しい特別な場合が得られます。
例題1。可動ピストン付きのシリンダーに、18.0 °C、0.985 atm で 1.75 L の窒素が入っています。ピストンにかかる圧力を 0.712 atm に下げながら、気体を −8.0 °C に冷やします。まず温度を換算します。T₁ = 291.15 K、T₂ = 265.15 K。V₂ = V₁ × (P₁/P₂) × (T₂/T₁) = 1.75 L × (0.985 atm / 0.712 atm) × (265.15 K / 291.15 K) = 2.20 L を解きます。各係数の向きを確認しましょう。圧力が下がると気体は膨張し(比が1より大きい)、冷やすと収縮します(比が1より小さい)。
PV = nRT で問題を解く
ボイル・シャルルの法則に気体の物質量を加えると、理想気体の状態方程式 PV = nRT が得られます。それまでの法則はいずれも、その特別な場合です。
圧力を気圧、体積をリットルで表すときは R = 0.08206 L·atm/(mol·K) を使い、圧力をパスカル、体積を立方メートルで表すときは R = 8.314 J/(mol·K) を使います。
273.15 K、1 atm では、1モルの理想気体の体積は 22.41 L です。1982年以降、IUPAC は標準圧力を 1 bar と定義しており、273.15 K でのモル体積は 22.71 L です。近道として1モルあたり 22.4 L に頼る前に、授業でどちらの慣例を使うか確認してください。
例題2。容積 2.50 L のスチール製シリンダーに、22.0 °C でアルゴン 0.180 mol が入っています。P = nRT/V から圧力を求めます。T = 22.0 + 273.15 = 295.15 K。P = (0.180 mol)(0.08206 L·atm/(mol·K))(295.15 K) / 2.50 L = 1.74 atm。キロパスカルでは、1.74 atm × 101.325 kPa/atm = 177 kPa です。
フラスコでの測定から求める気体の密度とモル質量
n = m/M(m は質量、M はモル質量)なので、理想気体の状態方程式は PM = dRT と書き換えられます。d = m/V は気体の密度です。温度と圧力が一定なら、気体の密度はモル質量に比例するので、既知の体積の気体を量れば、そのモル質量が得られます。
例題3。35.0 °C、0.968 atm で未知の気体を満たした 0.500 L のフラスコに、その気体が 0.967 g 入っています。理想気体の状態方程式に n = m/M を代入して整理すると、M = (m × R × T)/(P × V) = (0.967 g)(0.08206 L·atm/(mol·K))(308.15 K) / [(0.968 atm)(0.500 L)] = 50.5 g/mol となります。小数第2位に丸めた IUPAC の標準原子量(H 1.01、C 12.01、Cl 35.45)を使うと、クロロメタン CH₃Cl の M は 12.01 + 3(1.01) + 35.45 = 50.49 g/mol なので、データはその気体と矛盾しません。矛盾しないことは証明ではありません。モル質量が近い別の気体でも、同じ結果になります。
混合物中の分圧と、水上置換で集めた気体
反応しない気体の混合物では、各気体がそれだけで存在するかのように振る舞います。ドルトンの法則は、全圧が分圧の和であると述べます。P_total = P_A + P_B + …。各分圧は、その気体のモル分率に全圧を掛けたものに等しく、P_A = x_A × P_total で、x_A = n_A/n_total です。
例題4。25.0 °C の 4.00 L の容器に、N₂ 0.150 mol と CO₂ 0.0450 mol が入っています。全物質量は 0.195 mol なので、P_total = (0.195 mol)(0.08206 L·atm/(mol·K))(298.15 K) / 4.00 L = 1.19 atm です。N₂ のモル分率は 0.150/0.195 = 0.769 で、P(N₂) = 0.917 atm、P(CO₂) = 0.275 atm となります。それらの和は 1.19 atm で、当然そうなります。
水上置換で集めた気体は水蒸気と混ざっているので、まずその温度での水の蒸気圧を引きます。23 °C で全圧 754 torr のもとで集めた水素の場合、水の蒸気圧は 21.1 torr(OpenStax の表9.2)なので、P(H₂) = 754 − 21.1 = 733 torr、すなわち 0.964 atm です。0.312 L の試料では、n = (P × V)/(R × T) = (0.964 atm)(0.312 L) / [(0.08206 L·atm/(mol·K))(296.15 K)] = 0.0124 mol H₂ です。
提出前に見つけたい気体の法則での誤り
気体の問題での誤答の大半は、いくつかの予測しやすいミスから生じ、それぞれに具体的な確認方法があります。
もっとも役に立つ習慣は、計算する前に、答えが増えるべきか減るべきかを予測することです。計算結果がそれと合わないときは、比が逆になっていないかを探します。
- 式に摂氏を使う:298.15 K ではなく 25 という温度を使うと、答えは約12倍ずれます。通常の実験条件では、代入するどの T もおよそ 250 K から 400 K になるはずです。
- R の不一致:atm と L に 8.314 を使うと、答えは約100倍ずれます。
- モルの代わりにグラムを使う:PV = nRT の n はモルで表した物質量です。問題が質量を与えている場合は、先にモル質量で割るか、PM = dRT を使います。
- 水蒸気を忘れる:水上置換で集めた気体は乾燥していません。捕集した温度での蒸気圧を引きます。
実在気体が理想的に振る舞わなくなるとき
理想気体の状態方程式は、分子が体積を占めず、互いに引き合わないと仮定しています。実在気体は、低圧・高温でこれに近づきます。高圧では、分子自身の体積が容器の中で無視できない割合になるため、気体は予測より圧縮されにくくなります。低温では、引力が分子を引き寄せるため、測定される圧力は理想的な値より低くなります。
ファンデルワールスの状態方程式は、2つの補正を加えます。引力のための a の項と、分子の大きさのための b の項です。分子間力の強い気体ほど a の値が大きく、より大きくずれます。OpenStax の表9.3は、水蒸気の a = 5.46 L²·atm/mol² に対し、窒素は 1.39、ヘリウムは 0.0342 としています。1 atm 付近の室温では、理想気体の状態方程式は通常、数パーセントの精度で成り立ちますが、気体が凝縮する点の近くでは信頼できません。
制限事項と適切な利用方法
- このガイドは理想的な振る舞いを扱っています。実在気体は高圧や凝縮の近くでずれるので、そこでは実在気体の式が必要です。
- ここで使ったドルトンの法則は、混合物中の気体が互いに反応しないことを仮定しています。
- 標準状態について示されるモル体積は、標準圧力を 1 atm とするか 1 bar とするかによって変わるので、授業やデータの出典が使う慣例を確認してください。